開催日:2011.04.16~04.16
第4回 自然体験入門講座
安全に楽しく山歩きをするために
対象者
一般
講演会

 講師:山口 章 氏
  (NPO法人アウトドアライフデザイン開発機構常務理事・NPO法人浅間山麓国際自然学校顧問)

 

講座の様子

 2011年4月16日(土)、「安全に楽しく山歩きをするために」をテーマとして、今年度最初の入門講座を開催した。
今回は、準備編と実際編の2つのパートに分け、安全管理や正しい山の歩き方、山のマナーなど、山登りの基本的な知識や技術について2時間ほどの講義を行い、小諸市内外からおよそ100名近くの方々にご参加いただいた。


準備編
 まず、きちんとした登山計画を立てること。どこへ行くか、いつ行くか、どんなコースを歩くか、日帰りか宿泊か、単独行なのかメンバーがいるのかを考える。様々な状況によって、装備や持ち物、技術、必要な情報などが変わってくるからだ。
 標高の高い山に登るとすると、100mでおよそ0.6℃気温が下がり、風も強く、酸素が薄くなる。そのため低体温症や凍傷、滑落のリスクが生じてくる。また、体調にもよるが、標高が2000mを越えると高山病にかかってもおかしくはない。山のリスクは自分自身で管理しなくてはならないため、安全に山に登るためには、登山計画は欠かせない。
 重い荷物をたくさん持っていくと、体への負担が大きくなり、疲れやバランスを崩した時に事故につながりやすい。装備は、軽量かつコンパクト、高機能、多機能のものを選び、なるべく体への負担を減らすことも大切。
 装備は大きく分けて、1.ウェア、2.登山ブーツやザック、水筒などの一般用具、3.保険証や救急セットなどの非常用具がある。
 例えば、ウェアについては、山では気温や天候の変化が激しいため、機能性が高いものを選ぶ。また、夏でも冬でもレイヤリングは3層重ね着が基本。汗を吸収、発散してくれるアンダーウェア。マイクロフリースのように、熱をためこみ保温してくれる、中間着のミッドレイヤー。そして、外からの雨風を防いでくれるアウターレイヤー。
 他にも、テーピング機能により、腰やひざをサポートしてくれる高機能タイツや、ストレッチ性や保温性に優れたパンツがあるので、足腰に不安がある方は、そういったものも揃えると、より安全性が高くなる。

 山の情報は、ガイドブック、雑誌、新聞から集める。また、地図はいろいろなものがあるが、それぞれ一長一短があるので、登る山に応じて使い分けることも必要。そして、忘れてはならないのが、登山の前には心と体の調子を整えること。余計なことを考えながら山に登っていると、何も無いところで転んだり、思わぬ事故につながる可能性があるので、まずは精神状態を山モードにする。
 そして、常日頃から体調の管理をして、日常でも歩くことを意識する。疲れている時は無理をして山に登らず、引き返すことも登山では重要なこと。
 準備編のまとめとして、1.いかに軽くいくか(軽い装備)、2.いかに早くいくか(危険箇所の滞在時間を短く)、3.いかに楽にいくか(登るテクニック)、4.いかに楽しんでいくか(山についての知識向上)、5.いかに無事に帰るか(非常用具の点検)といった五箇条を目安にするとよい。

実際編
講座の様子  準備が終わったら、登山の前にいくつか確認することがある。余計なものは持っていかないように装備を確認し、防水を考えたパッキングができているか。当日の天気はどうなっているか。気象情報は、テレビ、ラジオの他、インターネットで登山気象が見られるので、これも参考にするとよい。
 また、靴の紐を踏みつけないように、まとめてあるか。ザックは、体にフィットするように調整できているかを確認すること。

 山に着いたらすぐに歩き始めず、必ずストレッチをして体をほぐす。ウォーミングアップができたら、最初の30分間はゆっくり登って、徐々に体を慣らしていく。
 基本的な山の歩き方は、登りも下りも「小またでゆっくり」歩くこと。軸足から腰、背筋をまっすぐ伸ばした姿勢から、靴のソール全体が地面に接地するように、狭い歩幅で足を踏み出す。悪い例として、歩幅が大きくなると、後ろ足のかかとが上がってしまい、滑って転んでしまうことがある。常に、靴のソール全体に自分の体重をのせるように歩くことを心がける。特に、事故の大半は下山中に生じているので、焦らずゆっくり下ること。
 山は、地形や地質によって、岩場、急な登り、階段など、様々な山道があるが、足場をよく見て、小またでゆっくり歩くことで安全性が高まる。

 みんなが楽しく安全に登るために、山ではマナーを守ることも大切。挨拶はもちろん、山の環境を守るために、ゴミは持ち帰る、タバコは携帯灰皿を使用する、植物を採らない、動物に餌を与えないことが挙げられる。また、遭難防止のために、道を外れて歩かないことや、人とすれ違う時は登りが優先で、待つ時は山側に立って待つことも意識しなくてはならない。谷側で待っていると、すれ違いざまにぶつかり、転落してしまう可能性もあるからだ。
 実際編のまとめとして、1.早立ち・早着きを徹底(明るいうちに行動)、2.いつでも現在位置の確認(遭難防止)、3.天候の急変に気をつける(雨で体を濡らさない)、4.パーティをバラバラにしない(安心安全)、5.山のマナーを守ろう(自分のため、みんなのため)、といった五箇条を頭に入れておく。

最後に

 山登りは、2本の足で歩ければ誰でも行ける。そこには大きな自然がある。
 自然は時として脅威でもあるが、自然というものはとても綺麗で、大きな景色や、おいしい空気を与えてくれて、自分自身への癒しにもつながる。癒しは現代の生活にとって、とても大切こと。
 また、普段は使わない筋肉を使い、汗をかくことで新陳代謝も高まり、さらに心肺機能の促進になるので、山登りはそのまま健康にもつながる。
 自然を楽しみ、癒され、健康になるという活動として、山登りは最適なアクティビティと言えるだろう。

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